ライブドア事件

A事件は平成24年3月13日最高裁判決、B事件は平成23年11月30日東京高裁判決です。

事案の概要

株式会社ライブドアホールディングズ(以下、「ライブドア」といいます。)が、有価証券報告書の中で、経常利益を過大に見せる等の記載を行い、後にこれが公表され、同社株式の価格が急落しました。
これによって、当該虚偽記載の公表前に同社株式を取得した株主ら(A事件:生命保険会社及び信託銀行、B事件:個人株主)が、同社に対し、金商法21条の2第1項に基づき、損害賠償を求めました。また、損害額については、同条第2項(虚偽記載の公表の前後のそれぞれ1か月間の市場価額の平均額の差額を損害額と推定する)の推定規定の援用も主張されました。

ライブドア事件の公表日前後の株価の動き

第1審

違法行為の有無 あり
「公表」の時期 検察官が、司法記者クラブに加盟する報道機関の記者らに対し、有価証券報告書に虚偽記載の容疑がある旨を伝達した時点と認定しました。
損害額 A事件 有価証券報告書虚偽記載以外の事情で生じた株価の値下がりは3割程度として損害額を減額しました。
B事件 有価証券報告書虚偽記載以外の事情で生じた株価の値下がりは約3分の2程度として損害額を減額しました(1株585円下落分から1株200円の損害と認定)。

控訴審

違法行為の有無 あり
「公表」の時期 第1審と同じ
損害額 A事件 虚偽記載公表後の株価下落原因のうち、一定の事情については、大規模な粉飾決算を企図した本件有価証券報告書の虚偽記載の発覚によって通常起こりうる事態であるとして、虚偽記載以外の事情で生じた株価の値下がりは1割程度として損害額を減額しました。
B事件 虚偽記載以外の事情で生じた株価の値下がりは6パーセント程度として損害額を減額しました(1株585円の値下がり分から550円の損害を認定)。

上告審

違法行為の有無 A事件 控訴審と同じ
「公表」の時期 A事件 控訴審と同じ
ただし、「公表」があったというためには、虚偽記載等のある有価証券報告書等の提出者等を発行者とする有価証券に対する取引所市場の評価の誤りを明らかにするに足りる基本的事実について、多数の者が知り得る状態に置く措置がとられれば足りるとの基準を示しました。
損害額 A事件 控訴審と同じ
ただし、金商法21条の2に基づき請求することができる額の算定方法について、株式を複数回にわたってそれぞれ異なる価額で取得し、これを複数回にわたってそれぞれ異なる価額で処分したという取引が複数回行われた場合において、個々の取引ごとの取得と処分との対応関係が特定され、取得価額及び処分価額につき具体的な主張、立証がされていない場合には、裁判所が、取得価額の総額と処分価額の総額との差額をもって、金商法19条1項限度額とした上で、これと推定損害額の総額とを比較し、その小さい方の金額をもって請求可能額と算定する(総額比較法)ことができるとしました。